オムリエヴァイタミン。
ワタクシ、生まれも育ちも名古屋でシャチホコを毎日みながら育ちました。比喩ではなくて、本当に住んでいたところが名古屋城のそばで、ベランダからシャチホコが光り輝くさまがみえたのです。
それはさておき、名古屋をはじめとした東海地方。ここの御当地CMに「ビタミンちくわ」というのがあります。少年少女時代を東海地方で過ごしたワタクシと同年代の方々なら知っていると思います。土なべの中でちくわがぐつぐつ煮えている映像で、
ちくわっ ちくわっ ビタミンちくわ
かあさん早く お願いねー
カネハツ カネハツ カネーハツの ビタミンちっくっわっ!
といううたが流れるやつ。他にも「おふくろーっ! みちこーっ!」っていう味わい深いのもあるのですが、それもさておき、とにかくビタミンが練り込まれたすごく栄養があって体にいいちくわ、ビタミンちくわのCMが、夕方のアニメの時間にはほぼ必ず流れ、いつしかワタクシの頭の中に、映像コミのうたがビタミンのごとく練り込まれていきました。
時は流れ今、ムスメと遊ぶワタクシの頭にそんな「ビタミンちくわ」が蘇り、何度か、ムスメにうたってあげました。ムスメはそれなりに喜んでくれたのですが、他にもいろいろ好きなうたとかあったりしたので、いつのまにか、うたわなくなっていました。
そんなある日、ムスメが「ちくわぶ」のうたをうたえ、と言い出しました。
ちくわぶ、えーとそんなうたあったっけ、と、とりあえずちくわぶー、ちくわぶー、てっへっへ、と急きょ「ちくわぶのうた」をこしらえてお茶を濁そうとすると、ムスメはそうじゃない、と不機嫌になる。
そして「はやく、おいでねー」「はやく、おしまいねー」などとうたう。
その時は、それでも「ビタミンちくわ」とは判らずに、ワタクシどもがムスメに言っているコトバをまねているのか、と思って、え、どうしたの、と質問したりして、ちがうのーはやくおしまいねーとますますムスメは不機嫌になったりしておりました。
それが、ムスメと風呂に入っている時、湯船がCM の土鍋の映像に重なったのか、急に、あ、とビタミンちくわを思い出したのです。ね、うたちゃんこれでしょ、と上述のビタミンちくわのうたをうたうと、ムスメは、大喜びして「はやく、おねがいねー」と言ってハダカのお尻をふりふりする。
しかもワタクシのうたにあわせて「はやくっ」などと合の手をシャウトし「ちくわっちくわっ」とうたいながら得意の屈伸運動もする。
そのさまが嬉しくて、ついビタミンソングを湯舟の中でも、風呂から上がってもリピートするワタクシ。そしてどうだい、このうた、いいうただろ、とうちゃんはこのうた聞いて育ったんだよ、とムスメの方を見ると、彼女はもうすっかりビタミンに飽きて、人形の「はもちゃん」をいじったりしている。
ビタミンソングの寿命は短い。またしばらく忘れ去られ、何かの拍子でまた今回と同じような経緯でなんどかうたわれて、をくり返しそうな予感がします。
しかも実物。CMはインパクト強かったのですが、ワタクシ、カンジンの味を知りません。ビタミンが練り込まれたちくわ、はワタクシの母親をはじめとするオトナからは、うさんくさく見えたようで、購入しようとしなかったからで、CM効果は、オトナにはあらわれずじまいで、今はCMはなくなってしまったようですし、ビタミンちくわの製造元も変わったようです。
そんなあと一歩感満載なビタミンソング。今度ムスメの脳裏に浮かぶのは、いつのことでしょう。かあさんはやくおねがいねー(おざなり)。