続オムリエヴァイタミン。

 ビタミンちくわのうたが、思っていた以上にムスメのヒットチャート内に留まり続けております。

 ワタクシ、前回、すぐにビタミンソングにムスメは飽き、また何カ月かは顧みられない日々が続くと書きました。ところが、ムスメはその後も「おねがいねー」とことあるごとにつぶやいています。

 朝、寝起きの悪いワタクシとツマをしり目にムスメはさっさと起きて、ちょっと前までは、かあちゃんのおっぱいをねだって泣いたりしていたのに、最近はいっちょ前になって、はやく起きて下さい、とばかりにワタクシどもの頭をなでたりうたをうたったりします。

 その朝の寝起きソングに「ビタミンちくわ」が採用されているのです。

 今朝も今朝とてムスメは少々つねったくらいでは起きてこないワタクシどもに業を煮やし「ちくわっちくわっ」とうたい出します。夢うつつで聞いていると「あやく、おねがいねー」と前半部分をうたい終わり、そこで急にテンポをあげて「かねかつかねかつかねかつよー」と早口コトバ風に一気につぶやき「ちゃみんちっくわっ」とうたいあげ自らを納得させるように首をうんうんとたてに振る。

 うんうん、とワタクシもうなずき、上手にできたねーと言いつつ、かねはつ、かねはつ、かねーはつの、と元気にうたったりして、寝床からなんとかはい出します。

 ムスメは、今はコトバを覚えて、再現するのが楽しくてしょうがないようであり、人間サンプラー状態です。

 風呂から上がる時、ワタクシとツマは、ムスメに「10数えようね」と手のひらをひろげて数えますが、その10までを覚えた、と、最近ムスメは浴槽のなかで手を何やら広げたり閉じたりしながら数えだすようにもなりました。

「ひとーつ むっつ ここのつ とっ!」

 あ、うたちゃん、えーとね、とついワタクシどもが正しく数えていくと、ムスメは、小声になってそれでもちゃんと、「ひとーつ、むっつ、……むっつ、むっつ、むっつ」と彼女なりについて来て、さあうたちゃんつぎはここのつだよ、とワタクシどもが言うと「ここのっつ、とーお」と大きな声で言って、うんうんとうなずいて、浴槽をよじ登ろうとする。

 オウムみたいだ、と言われたらそれまでですが、ワタクシは、今、ムスメがコトバを模倣し、覚えて、そして使いこなして行くプロセスをまのあたりにしているのだと思います。多分、ムスメは覚える楽しさを味わっていて、すごいね、などとワタクシどもから賞賛されたり、面白がられるのも楽しくてしょうがないんでしょう。

 早期教育推進派なら、ここで10までをちゃんと覚えさせるのだろうし、教育はまだ早すぎる、と考える人々だったら、えーと、どうするか判りませんが、オトナが正解をすぐに教えるような形にならないよう気を配るんだと思います。

 どちらにも針を振れない優柔不断なワタクシどもは、とりあえず「しょじょじ」のタヌキのうたの英語バージョンを「かむかむ、えーぶりぼで」などとうたって、ムスメに覚えさせ、うたわせて、うたちゃんすげー英語しゃべってるよーと手を叩いたりして、親だからこそ味わえる快楽を追い求めております。

 鼻の穴を開きぎみにしてあれこれ模倣してしゃべったりうたったりするムスメ。教育うんぬんはおいておいて、とりあえず変なコトバは彼女の前でしゃべったらいかんなあ、とがらにもなく気を引き締めております。昔から緊張するといわんでいい変なことを言ってしまうワタクシ。果たしてできるかな。